焼肉食べ放題に潜む悪夢
2
焼肉食べ放題。
「え、マジで? 俺、今日、あの、大食いタレントの「バクヨウ」さんが、近所の激安焼肉食べ放題に来るっていう噂聞いて、いてもたってもいられなくて来ちゃいました!」
大学生のタカシは、興奮した様子で隣に座っていた友人のケンジに話しかけた。
「はあ? バクヨウ? あいつ、テレビでしか見たことねえよ。それに、こんな店にわざわざ来るか? もっと高級な店行くんだろ?」
ケンジは、スマホをいじりながら適当に相槌を打った。
店は、駅前の雑居ビル地下にある、その名の通りの激安焼肉食べ放題だ。
タカシは、SNSで「バクヨウさんがこの店に来る」という情報を見て、半信半疑ながらも期待に胸を膨らませていた。
「いや、マジなんだって! ほら、こないだの動画でも、ここの店の名前をポロッと言ってたし! しかも、なんか、今日が特別な日だからって!」