監視されたテレビ

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「ちょっと、〇〇さん、これ見てよ」 隣の席の佐藤が、スマホの画面をこちらに向けた。 SNSのタイムラインだった。 「なんだよ、また変なバズってるのか?」 「いや、なんか、うちのマンションの掲示板に貼られてたって画像なんだけど…」 画面には、見慣れたマンションの共用掲示板の写真。 そこに貼られた一枚の紙。 「『幸福の科学にご関心のある方へ』…なんだこれ、勧誘か?」 「いや、その下よ。なんか、変なことが書いてあって…」 佐藤が指差す先。
『現在、会員〇〇〇〇(実名)が、創価学会の幹部〇〇〇〇(実名)と、統一教会の〇〇〇〇(実名)と共に、朝まで生テレビのスタジオに潜入、司会者〇〇〇〇(実名)の顔を、我々が崇拝する教祖〇〇〇〇(実名)の顔に書き換える計画を遂行中です。成功の暁には、視聴者全員に幸福の御加護があります。ご協力ください』
「…は?」 思わず声が出た。 馬鹿げている。 どう見ても悪質なデマか、誰かの悪ふざけだ。 うちのマンションの住人に、そんな過激な人間がいるとは思えない。 「なんか、もう、怖すぎて…」 佐藤は顔面蒼白だ。 俺も、冗談じゃないのは分かっているが、妙な胸騒ぎがした。
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怖さを変えて作り直す

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