裏山のポケモン
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裏山のポケモン
「なあ、お前、ポケモンって好きだったろ?」
週末、地元の祭りで偶然再会した旧友の健太が、酔いの勢いでそう言ってきた。
俺は「まあ、昔はな。
でも、もう大人だし、最近のやつは全然わからんよ」と濁した。
小学校の頃、俺たちは四六時中ポケモンの話ばかりしていた。
特に健太は熱狂的で、学校の裏山に秘密基地を作っては、そこで捕まえた虫をポケモンに見立てて遊んでいたのを思い出す。
「でもさ、なんか、妙な噂があってさ」
健太はさらに酒を煽り、声を潜めた。
「裏山、あの僕らの基地があったあたりに、なんか変なのが出るらしいんだよ。
人魂みたいなのが夜な夜な徘徊してるとか、奇妙な声が聞こえるとか」
「…なんだよ、それ。
ガキの悪戯だろ」
「いや、違うんだって。
うちの妹が、最近スマホで撮った写真に、なんか変なのが写り込んでたって騒いでてさ。
ぼやけててよく見えないんだけど、どことなく…ポケモンっぽいんだよ」
ポケモン?
裏山?