ポチと夜の街の猫

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ポチ消失 僕の近所に住む、一人暮らしの女性がいる。 彼女は「ポチ」という名前の、どこにでもいるような雑種猫を飼っている。 でも、そのポチがとんでもない猫で、何度か彼女が買ってきた刺し身を奪って逃げ出すという、迷惑極まりない行動を繰り返していた。 その度に彼女は「もう!ポチったら!」と笑いながら追いかけるのだが、その顔にはどこか諦めにも似た、奇妙な充実感のようなものさえ浮かんでいた。
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怖さを変えて作り直す