広陵高校の「伝統」

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大学のサークルで、僕は一つ上の先輩を「先輩」と呼んでいた。 彼はいつも僕に、どこか達観したような、それでいて 底知れない不安 を抱えているような、不思議な影を落としていた。 特に、先輩が時折漏らす「広陵高校」の話は、僕の心を ざわつかせた。 彼によれば、その高校には、奇妙な「伝統」があったらしい。 「まぁ、なんというか… 男同士の、こう、絆を深める儀式みたいなものかな」 先輩はそう言って、口元に 苦い笑み を浮かべた。 具体的な内容は決して明かさなかったが、その言葉の端々から、僕には 異様な熱気 と、何か 禁忌を犯すような気配 が伝わってきた。 先輩は、その「伝統」を、あたかも誇るべき功績のように語り、そして、それを「体験した者だけが、本当の仲間になれる」とまで言った。
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怖さを変えて作り直す

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