虚像の迷宮

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恒星間移動宇宙船での単独観測任務は、想像以上に静かだった。 二十光年離れた恒星系、アルファケンタウリ星系へと向かう道程、私の唯一の話し相手はAIコンソールと、時折交信する地球の管制官だけ。 そんなある日、船外センサーが奇妙な信号を捉えた。 それは、既知のどの物理法則にも適合しない、極めて高密度のエネルギー反応だった。 解析を試みたが、全く歯が立たない。 まるで、存在しないはずの何かが、私の宇宙船のすぐ近くを通過したかのようだった。
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怖さを変えて作り直す