「あれ、中村さん、なんか調子悪そうっすね」
わしゃがなTVの収録スタジオ。
いつものように、ゲームのプレイ動画を撮っていた。
隣でコントローラーを握る中村悠一が、何度かエイムを外し、ため息をついた。
「うーん、なんか指が思うように動かねえんだよな。
昨日、遅くまで作業してたせいかな」
マフィア梶田は、中村の様子をちらりと見て、それ以上は何も言わなかった。
収録は淡々と進み、異常といえば、中村のプレイがいつもより数段おぼつかなかったことくらいだ。
だが、それは単なるコンディション不良だと、誰もが思っていた。