蛇口

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大学時代の友人に、たまに「ガチムキの兄貴」って呼ばれてるやつがいる。 本人は「兄貴」って呼ばれるのは嫌がってるけど、 その見事なまでの筋肉と、 どこか頼りがいのある(しかし、どこかズレてる)雰囲気に、 いつしかそう呼ばれるようになった。 ある夏の夜、私と兄貴は、昔よく遊んだ近所の公園にいた。 もう22時を回っていて、公園は閑散としていた。 唯一開いていたのは、公園の隅にある公衆トイレだけだった。 兄貴が「ちょっと喉乾いたから、自販機で水買ってくるわ」と言って、公園の入り口に向かった。
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怖さを変えて作り直す