大学の友人たちとの旅行。
山奥に佇む、古びた旅館に泊まることになった。
建物は風情があり、趣深い。
しかし、夜のとばりが降りると、
どこからともなく、
カサカサ…
と、着物の裾を引きずるような音が聞こえ始めた。
最初は風の音かと思った。
だが、その音は徐々に、
hallway の向こうから、
こちらへ向かってくるように聞こえた。
電気を消し、横になろうとした、その時。
部屋のドアの隙間から、
細く、長い指が、
ゆっくりと、
差し込まれてくるのが見えた。
反射的に電気をつけたが、
指は、もうどこにもなかった。