白猫ヤマトゥの誘い

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最近、実家の片付けを 手伝うことになった。 亡くなった祖父の遺品の中に、 古びた茶箱があった。 開けてみると、 中には分厚いアルバムが ぎっしり詰まっている。 子供の頃の僕の写真、 家族旅行の写真、 そして、見慣れない写真もあった。 それは、見慣れない風景の中に立つ、 見慣れない人物の写真だった。 顔はぼやけているが、 どこか僕に似ているような気もする。 アルバムの端には、 祖父の筆跡で 「白猫ヤマトゥ」とだけ記されていた。 何度見ても、それがどこなのか、 誰なのかは分からない。
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怖さを変えて作り直す

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