隔離されるまもるくん

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僕が大学でアフリカ史を専攻していた頃の話だ。 ゼミの合宿で、一度だけ南アフリカを訪れたことがある。 現地の学生たちと交流する機会があって、その中で「アパルトヘイトまもるくん」という、ちょっと変わったニックネームの学生がいた。 本人は、アパルトヘイト(apartheid)という言葉が「隔離」「分離」を意味することから、自分の名前「まもる」を逆手にとって、差別を「守る」のではなく「なくす」という意味でそう呼ばれている、と説明していた。 しかし、どこか引っかかる響きだった。
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怖さを変えて作り直す

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