数年前、友人が「貴婦人御用達お料理教室」なるものに、週に一度通い始めた。
優雅で、いつもピカピカに磨かれた銅鍋が並び、白髪の老婦人が上品に微笑みながら生地をこねている。
そんなイメージを抱いていたらしい。
ところが、彼女が持ち帰る話は、どこか妙なものばかりだった。
「先生、いつも同じ服を着てるのよ」
「顔色も、なんか青白いっていうか…」
「それに、声がね、機械みたいな単調な声なの」
最初は、高級教室ならではの、ちょっと変わった先生にでも当たったのかと思っていた。
だが、彼女の話は徐々にエスカレートしていく。