完成する絵、囚われる記憶

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僕の部屋には、いつからか「1億回見たら死ぬかもしれない絵」が飾ってあった。 どこで手に入れたのか、記憶にない。 ただ、ある朝目覚めると、それは僕の部屋の壁に掛かっていた。 油絵のような、それでいてデジタルプリントのような質感。 描かれているのは、どこかの街角を切り取ったような風景。 しかし、なぜか妙に雑然としていて、歪んでいる。 よく見ると、建物の窓の形が不規則だったり、空の色が部分的に濁っていたり。 気味が悪かったけれど、処分する気にもなれず、そのままにしておいた。 SNSで検索しても、似たような絵は見つからない。
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怖さを変えて作り直す