「あのさ、宮城さんの部屋、なんか変じゃない?」
大学の友人、佐藤が隣のロッカーを叩きながら言った。
僕たちは卒業制作でチームを組んでおり、連日、沖縄の過激派が関わった過去のデモ活動のデジタルアーカイブを漁っていた。
宮城さんは、その調査のキーパーソンだった。
「変って、何が?」
僕はイヤホンを外した。
研究室はいつも通り、古いサーバーの唸る音と、誰かのキーボードの打鍵音だけが響いていた。
宮城さんは、いつも一番奥の席で、ほとんど誰とも話さなかった。
資料の深掘りには異常な集中力を見せるが、生活感は希薄だった。