カニの身

1
大学のサークル仲間と、年に一度の「カニ食べ放題」に行った。 俺は、カニが苦手だった。 というより、カニを食べるという行為そのものが、どうにも肌に合わない。 あの、殻を剥く手間、そして何より、むき出しになった身の、あの異様なまでの「生々しさ」。 だが、皆が楽しみにしているイベントだったので、無理について行った。 会場は、街外れの大きなホテルだった。 バイキング形式で、ズワイガニ、タラバガニ、毛ガニと、種類も豊富だった。 俺は、カニから目を逸らすように、サラダや寿司、デザートばかりを取った。 友人たちが、歓声を上げながらカニに群がるのを、遠巻きに眺めていた。
1 / 2

怖さを変えて作り直す

新着の物語