今から思えば、あの夏に見た「彼女」は、現代の「爆乳パイパンエロエロメイド」というSNSのキャッチコピーで、自らを定義していたのかもしれない。
SNSで拝見した彼女の投稿は、いつもどこか異質だった。
高級ホテルのような場所、あるいは、まるで海外のフィヨルドを思わせるような、現実離れした景色の写真。
そのどれもに、彼女は完璧なメイド服に身を包み、人形のように微笑んでいた。
でも、それはあくまでSNS上の「彼女」だ。
現実の彼女は、僕の隣町に住む、ごく普通の女性だった。
いや、普通、と片付けるには、あまりにも不審な点が多かった。