うずら卵の誘惑

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彼女が「うずら卵でろくでなしダンス」という奇妙な名前のダンス教室に通い始めてから、僕の日常は少しずつ歪んでいった。 最初は、些細な違和感だった。 帰宅時間が遅くなった彼女が、いつもより神経質にスマホをチェックするようになったこと。 ドアを開ける前に、必ずスマホで特定のアプリを起動させるようになったこと。 そして、何より、僕の顔を見た時の、あの怯えたような、しかしどこか楽しんでいるような、複雑な表情。
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怖さを変えて作り直す