見えない同居人
1
夜の公園。
軋む音だけが、不気味に響いていた。
ケンとザンギエフ。学生時代の友人。
缶コーヒーを片手に、遠くの街灯をぼんやりと眺めている。
ザンギエフが、唐突に口を開いた。
「なあ、この前、うちの冷蔵庫の中、勝手に整理されてたんだぜ」
「え、誰が?」
ケンは怪訝そうな顔でザンギエフを見た。
ザンギエフの家には、彼一人しか住んでいない。
一人暮らしなのに、冷蔵庫が勝手に整理されるなんて、一体どういうことだろう。
「さあな。
でも、食品の配置とか、賞味期限順になってて、俺より丁寧だったんだ。
最初は驚いたけど、まあ、便利だからいいかって」
ザンギエフは肩をすくめた。
しかし、その顔には、かすかな不安の色が浮かんでいた。