ペンギンの焼鳥
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今年の夏祭りは、いつもと少し違った。
というのは、父が突然
「ペンギンの焼鳥、食ってみようか」
と言い出したからだ。
冗談だと思った。
しかし、父は本気だったらしい。
翌日、父はどこからか「ペンギンの焼鳥」と書かれた怪しげな食品サンプルを手に入れ、それを元に俺たち家族に「作ってみる」と言い出した。
母は顔をしかめていたが、父の熱意には勝てなかった。
俺は、父がインターネットで「ペンギンの部位別調理法」なるものを見ているのを見て、内心引いていた。
もっとも、父が見ていたのは、どうも鳥類の解体方法と、それを串に刺して焼く方法ばかりだったのだが。