シミュレーションの座標
1
「ねえ、アーロン、このデータ、本当に君が昨日アップロードしたもの?」
僕の声は震えていた。
放課後の薄暗い私立デスバレー高校附属幼稚園パソコン部に、二人きり。
壁沿いに並んだ古いデスクトップPCの排熱だけが、部屋の空気をわずかに動かしていた。
アーロンは、キーボードから手を離さず、いつも通りのぼんやりとした目でモニターを見つめている。
「ああ、間違いない。昨日の午前三時だ」彼は答えた。
午前三時。
それは彼がいつも寝静まっている時間だ。
アーロンは、他の生徒たちとは少し違っていた。
彼は技術的な才能に恵まれていたが、感情の起伏がほとんどなく、常にぼんやりとしていた。
まるで、彼の中身が別の何かに置き換わったかのように。