白い粉の悪夢
1
「ねぇ、このアカウント見てよ」
友人のサトシがスマホを覗き込んできた。
画面には、奇妙なTikTokアカウントが表示されている。
投稿されているのは、どれもこれも、誰かの部屋だろうか、薄暗い室内で、ひたすら白い粉をまいているだけの動画だ。
BGMもなく、ただ淡々と、部屋の隅から隅まで、床、壁、天井にまで、執拗に白い粉が撒かれていく。
映っている人物は、顔を隠すようにフードを深く被っており、性別も特定できない。
コメント欄は「何これ?」「意味わからん」「怖すぎ」といった戸惑いの声で埋め尽くされていた。
「なんか、最近流行ってるのかな?『お清めチャレンジ』とか」
サトシは笑って言ったが、その声にはどこか力がなかった。
僕も思わず画面に釘付けになる。
動画の合間に挟まれるように、時折、投稿者の「素」の顔らしきものが一瞬だけ映る。
それは、妙に生気のない、人形のような顔だった。
そして、その目だけが、妙にギラギラと光っているように見えた。