消された座標
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僕が『私立デスバレー高校附属幼稚園パソコン部』の顧問を押し付けられたのは、夏の終わりの暑さが残る九月だった。
幼稚園の隣接施設で高校の部活動が余剰スペースを使っていたのは、運営上の「効率化」の結果らしい。
僕、教師歴五年の新米、アーロンは、なぜか年長組の子供たちに混じって、フロッピーディスクのフォーマット方法を教えていた。
もちろん、今の時代にフロッピーなど使うはずもなく、彼らはただ、古いモニターの前でひたすらマウスをカチカチさせていた。
僕の同僚で、この異常な状況に最も順応していたのは、元々IT業界にいたという中年教師、イーロン・マスク(本名ではないが、皆そう呼んでいた。彼は冗談で「私の先祖はテスラだ」と言っていた)だった。