博士のポケモン

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博士のポケモン 大学病院の精神科医になったばかりの頃の話だ。 担当患者の中に、オーキド博士という名の男性がいた。 白髪交じりの髪はボサボサで、いつも少し眠たそうな目をしていたが、その瞳には妙に聡明な光が宿っていた。 「博士、今日の調子はどうですか?」 そう声をかけると、彼はいつも決まったように答える。 「ああ、君か。 今日はね、私の『ポケモン』たちが、静かに私を見守ってくれているよ。」 最初は、彼が錯覚や妄想で「ポケモン」という言葉を使っているのだと思っていた。 だが、話を聞いているうちに、どうも様子がおかしいことに気づき始めた。 彼は、自分がかつて、世界中を旅して珍しい生物(ポケモン)を捕まえ、研究していたと語るのだ。 そして、その旅の途中で、ある「禁断の場所」に足を踏み入れてしまったと。
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怖さを変えて作り直す