カマスの記録

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アパートの契約更新の案内が来ていた。 来月で丸五年。 特に不満はない。家賃も立地も、壁の薄さも、すべてが「平均的」だった。 ただ一つ、隣室の音が少し気になっていた。 深夜、いつも決まった時間に、奇妙な反復音。 まるで古いタイプライターが、誰かにせかされるように打たれている音。 カタカタ、カタカタ、ときどき、ドン、という重い打鍵が混じる。
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怖さを変えて作り直す

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