子を呼ぶ者、魂を奪う者

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大学で民俗学を専攻していた頃の話だ。 卒業論文のテーマで、私はある奇妙な風習を追いかけていた。 それは、東北地方の山奥に伝わる、ある祭りの記録。 祭りの詳細は不明瞭で、資料もほとんど残っていなかったが、数少ない文献に「子を呼ぶ者」なる怪異についての記述があった。 調査を進めるうち、祭りがかつて行われていたとされる集落の跡地へとたどり着いた。 そこは、今はもう誰も住んでいない、鬱蒼とした森の中にひっそりと佇んでいた。 廃屋となった家々からは、奇妙な静けさが漂っている。
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怖さを変えて作り直す