地下7階の奇妙な声
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最近、ニュースで
「高齢者の急速な幼児化」
という現象が取り沙汰されている。
最初は耳を疑った。
認知症とは違う、まるで時間遡行でもしているかのような、身体的・精神的な若返り。
それが、どういうわけか、
国会議事堂の地下深くで、
秘密裏に進められているというのだ。
僕は、フリーのジャーナリストとして、
この奇妙な噂を追っていた。
ある日、極秘ルートから、
国会議事堂の警備員が作成したらしき、
断片的な記録データを入手した。
それは、監視カメラの記録と、
当直日誌のようなものが混ざったものだった。
'''23:17、地下3階、資材搬入口付近で異常な物音。確認に向かうも、異常なし。しかし、空調の温度が急激に低下。記録計にノイズ混入。'''
'''01:45、地下5階、旧公文書保管庫エリアから、赤ん坊の泣き声のような音が複数聞こえる。拡声器で呼びかけ、応答なし。静止画映像に、一瞬、人影のようなものが映り込むが、すぐに消失。'''