ぽっぽっぽーおじさん
1
公園のベンチに座り、スマホを眺めていると。
どこからともなく、
「ぽっぽっぽー」
という、奇妙な鳴き声が聞こえてきた。
最初は鳥かと思った。
だが、あまりにも人間じみた、
いや、人間が真似しているような、不気味な響きだった。
顔を上げると、数メートル先に、
年配の男性が立っている。
Tシャツには「ぽっぽっぽーおじさん」と、
手書きで書かれたワッペンが縫い付けられていた。
彼はこちらに気づくと、
ニコリともせず、
ただじっとこちらを見つめている。
そして、また「ぽっぽっぽー」と鳴いた。
その声には、かすかに嘲りが含まれているような気がした。