胃袋を乗っ取った声

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昨晩、深夜のコンビニでバイトをしていた時の話だ。 閉店間際、客は僕一人。 レジでお釣りを数えていると、 どこからか、あのペイペイのキャンペーンで流れる、 あの女性の声が聞こえてきた。 「1000円以上のチャージで、毎月当たる!」 ――いや、それじゃない。 もっと、こう、耳元で囁かれているような、かすかな声。 「唐揚げ、如何すか?」 一瞬、条件反射で「はい、いかがなさいますか?」と聞き返しかけたけど、 店内に客は僕だけ。 それに、うちのコンビニ、唐揚げなんて売ってない。 冷凍食品コーナーに、惣菜コーナーにも、そんなものはない。
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怖さを変えて作り直す

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