義理の弁当と空の容れ物

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僕は最近、近所のスーパーの試食コーナーに異常なほどハマっていた。正確には、あの試食を配っている女性のせいだ。 彼女はいつも、異様にきっちりした針金のような弁当を売っている。 見た目は手作り感満載なのに、形が一切崩れない。 試食で出される一口大の煮物が、まるでプラスチックの塊のようにピンと立っているのだ。 彼女はいつも笑顔で言う。「どうぞ、この『お義理弁当』を。愛が詰まっていますから」 口調は丁寧だが、その目は全く笑っていないのが気になっていた。
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怖さを変えて作り直す

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