おぼこの窓
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「おぼこ」なんて言葉、滅多に使わなくなったと思っていた。
それがまさか、私の日常に 舞い戻ってくるとは。
freelanceでWebライターをしている私は、ある日、依頼された記事の取材で、裏社会の深淵を覗くことになった。
テーマは「現代における〇〇(業種名)の変遷」。
リサーチを進めるうち、ある匿名掲示板に辿り着いた。
「娼館」という、これもまた死語になりかけていた言葉が、そこには普通に飛び交っていた。
特に目を引いたのは、「おぼこの店」というスレッド。
曰く、まだ世間知らずで純粋な少女ばかりを集めた、特殊な形態の娼館があるらしい。
悪趣味な好奇心に駆られ、私はその「おぼこの店」の情報を深掘りしていった。