2030年。
俺は、世に言う『職なし人間』だった。
まあ、強いて言えば、最新のAI倫理委員会の無給インターン、とか名乗ってたかもしれないけど、実態はただのニートだ。
家賃も払えなくて、親戚から借りた金でなんとか生活している。
そんな俺に、ある日、謎のメールが届いた。
『あなたの「観察能力」を高く評価します。
高額報酬にて、特別な調査にご協力いただけませんか?』
場所は、都内某所の、今は使われていない古いビルの一室。
胡散臭いにも程があるが、他にアテもない。
藁にもすがる思いで、指定された時間に向かった。