箱庭の鏡

1
2030年。 俺は、世に言う『職なし人間』だった。 まあ、強いて言えば、最新のAI倫理委員会の無給インターン、とか名乗ってたかもしれないけど、実態はただのニートだ。 家賃も払えなくて、親戚から借りた金でなんとか生活している。 そんな俺に、ある日、謎のメールが届いた。 『あなたの「観察能力」を高く評価します。 高額報酬にて、特別な調査にご協力いただけませんか?』 場所は、都内某所の、今は使われていない古いビルの一室。 胡散臭いにも程があるが、他にアテもない。 藁にもすがる思いで、指定された時間に向かった。
1 / 6

怖さを変えて作り直す

新着の物語