「ねえ、この『人体の不思議展』、ちょっと変じゃない?」
友人のサキが、スマートフォンの画面を私に向けながら言った。
会場の薄暗い照明とは対照的に、画面には不気味なほど鮮明な展示物の写真が映し出されていた。
それは、本物の人体を特殊な樹脂で封入し、断面や内部構造を剥き出しにした、いわゆる『人体標本』の展示だ。
「どういうところが?」
私は特に気にも留めず、サキの隣に並んで歩き始めた。
会場は閑散としていて、他に客はまばら。
平日の昼間だからだろうか。
それとも、この手の展示はそもそも人気がないのか。